語り語られることの歴史学
平安後期に中国へ渡り、彼の地で生涯を終えた天台僧「成尋」。
皇帝より要請された祈雨を成功させ、大師号を賜ったその功績は、中国で華々しく活躍した先達として、日本の数々の高僧伝において取り上げられている。
しかし、中国側史料には、この一連の祈雨成功については一切語られていなかった。
成尋の書き残した渡航日記『参天台五臺山記』、そして中国側史料を精査することで見えてきたものとはいったい何か・・・。
語り、語られることで交錯する異文化の諸相を立体的に捉え、文化・歴史とは何かを再考する新たな歴史学。