和と漢の織り成す日本文化。その背景にある思想の枠組を描き出す
漢と和。日本文化がその相関のうちに形成されていったことはすでに言われて久しい。
それは一方的な文化流入の問題に収まらない、動的な授受・相補的関係のなかにあった。
漢詩と和歌、詩論と歌論のあいだを揺れ動く表現のあり方、東アジアの根幹たる儒教的礼学思想の日本的変容と勅撰和歌集編纂の関係、そして、平安朝物語文学の発生とともにあった漢文世界の意義。
和、そして内在化されていく漢が相互干渉的に綾を織り成していく様相を把捉し、日本文化形成の思想と方法を鮮やかに切り出す画期的成果。