「寺社圏」の機構を対象化する
院政期以後、宗教組織から拡大し、「初期的都市」として寺社機構が成り立っていた場である「寺社圏」。当時の寺院・神社については、中世史学・仏教史学・教学・中世文学・日本語学・美術史学などといった、実に様々な観点・領域からの研究が蓄積されている。
「寺社圏」を成り立たしめている微細な「点」「もの/ごと」を観察することにより、個々の「点」は遠くにある別の「点」と〈遠近図法〉的に連なり、それらの連関によって、「寺社圏」の持つ有機的な全体を描くことができるのではないか。
本書は寺社の内外にわたる、あらゆる「もの/ごと」を全方位的に明らかにするための方法論的試みである。