世界に誇る白眉の書物を原寸原色で初公開
『梵語千字文』は、『千字文』にならって著された梵語辞典。華厳経の新訳や仏典の漢訳に関わった唐僧義浄の編による。仏典の翻訳者養成のために作られたとされる。
東洋文庫本は九世紀に唐で書写された現存最古写本で、円仁など遣唐使により将来されたものと考えられる。平安中期の片仮名・ヲコト点が附され、古訓点資料として大変貴重。
『胎蔵界真言』は、高山寺旧蔵本。のちに稲田福堂、青木信寅という名立たる蔵書家の手に伝わったことが知られる。醍醐寺の開山・理源大師聖宝の筆によるものとされる。真偽は不明だが、平安中期書写のものと推定される。
【本シリーズの特長】
・国際的な東洋学の研究拠点として名高い「公益財団法人 東洋文庫」所蔵の国宝5点、重要文化財6点を含む貴重古典籍全16点を、全12巻にわたって全編フルカラー原寸で影印。
・対象典籍の全編フルカラー影印は史上初。これまでに全編が公開されることのなかった典籍を多く含んでおり、今後の研究の基礎図書となるものである。
・高精細な製版・印刷により、原本の質感を再現。筆致や書入、訓点までもが仔細に観察できる。紙背の墨付も全て影印。
・古典籍に通暁した石塚晴通(北海道大学名誉教授)・小助川貞次(富山大学教授)・豊島正之(上智大学教授)・會谷佳光(東洋文庫図書部課長)による解題を収載。新知見を盛り込み、歴史的・文化的位置づけを明らかにする。