近代医学草創期における蘭学者たち 挑戦の軌跡を追う
『蘭学事始』は杉田玄白が『解体新書』の原書の入手から翻訳・刊行にいたるまでの苦心談や「蘭学」の創始、前野良沢ら同志と取り組んだ挑戦の実況、蘭学界の動向・推移などを書きつづった回顧録である。
玄白はなぜ「蘭学」という新しい学問を創始したか。いかにして近代西洋医学の道を切り拓いたか。その成果は後世にどのような影響を与えたか。また、『蘭学事始』執筆の動機とは何か。
蘭学発達の道筋、玄白らの知恵と工夫と努力の過程を、玄白自身の言葉を手がかりに、時代状況や蘭学史研究の最新の成果、新たに判明した玄白の記憶の間違い、解明に到った新事実を盛り込んで紹介する。