菅原道真撰と伝えられる平安前期の私撰歌集『新撰万葉集』上巻全注釈
『新撰万葉集』上巻は序文および119組の和歌(短歌)と漢詩(七言絶句)からなり、和歌を題として漢詩を作る趣向の先駆を成すものとして、文学史的にきわめて重要な位置づけがなされてきた。
従来の注釈書では正面から取り上げられてこなかった和歌と漢詩の比較対照に重点を置きながら、諸本の校合も入念に行うなど文献学的・解釈学的に注釈を行い、先行研究・解釈の見直しを迫る基礎資料を提供。
『新撰万葉集』の研究のみならず、古代和歌・日本漢詩・和漢比較の研究の展開に重要な視点を示す。