「怪異」は中国の災異思想をはじめ、日本の神仏による霊験や物の怪、西洋の驚異、また民間説話や芸能、文学作品に見える妖怪など、様々なものを指すが、いずれも不思議な現象を読み解き、説明する情報の発信者と受容者のコミュニケーションによって成立する。
そこには、神霊と人、人と人を「媒介」する〈知〉と〈技〉が重要な役割を果たしてきた。卜占や託宣を操る宗教者、怪異を知識で解釈する儒者や国学者、怪異をエンターテイメントに昇華させる作家や芸能者等「媒介者」は多様である。
その諸相を検討し、「怪異」をめぐる社会や人々の心性のダイナミズムを明らかにする。