語りの文学『源氏物語』、その原点に立ち返る。
本文に忠実でありながらよみやすい。
最上の現代語訳 誕生!
第一冊は桐壺巻~若紫巻。主人公光源氏の誕生から十八歳の冬までの出来事。
物語は、絶対的主人公として類い稀なる人物、光源氏を称揚しつつも、青春を謳歌し、時に失敗もするその姿を、控えめではあるが批判的に描写することがある。本書は、その語り手の姿勢を丁寧に訳出する。
巻末の論文では、第一帖である桐壺巻が、物語の一番最初に書かれたのではないとされる、「桐壺巻後記説」について、分かりやすく解説する。
【本書の特色】
1.美しく正しい日本語で、物語の本質である語りの姿勢を活かした訳。
2.物語本文を忠実に訳し、初の試みとして、訳文と対照させ、物語本文を下欄に示す、本文対照形式。
3.訳文に表わせない引歌の類や、地名・歳事・有職などの説明を上欄に簡明に示す。
4.敬語の語法を重視し、人物の身分や対人関係を考慮して、有効かつ丁寧に訳す。
5.物語本文で省略されている主語を適宜補い、官職名や女君・姫君などと示される人物にも適宜、( )内に呼名を示し、読解の助けとする。
6.訳文には段落を設け、小見出しを付けて内容を簡明に示す。また巻頭に「小見出し一覧」としてまとめ、巻の展開を一覧できるようにした。
7.各巻末に源氏物語の理解を深めるための付図や興味深い論文を掲載。