日本「文」学史1
ニホンブンガクシ ダイイッサツ

日本「文」学史 第一冊 A New History of Japanese “Letterature” Vol.1

「文」の環境―「文学」以前
河野貴美子/Wiebke DENECKE/新川登亀男/陣野英則 編
ISBN 978-4-585-29491-7 Cコード 1095
刊行年月 2015年9月 判型・製本 四六判・並製 552 頁
キーワード 漢文,比較文学,和歌,古典,アジア,日本史,中古

定価:4,180円
(本体 3,800円) ポイント:114pt

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書籍の詳細
日本文学史を書きかえる

いま、わたしたちが思い浮かべる「日本文学」「日本文学史」は、歴史上のあり方を、そして、その本質を正しく記述しているのだろうか。
「文学」そして「文」という概念を改めて問い直すとき、従来の見方では見落とされてきた広がりと多様性を持った世界が広がってくる。
和と漢、そして西洋が複雑に交錯する日本の知と文化の歴史の総体を、人びとの思考や社会形成と常に関わってきた「文」を柱として捉え返し、過去から現在、そして未来への展開を提示する。

第一冊では、西欧からの「文学(literature)」概念が導入される以前、特に古代から中世において、日本の「文」がいかなる環境のもとで、いかなる世界を形成していたかを描き出す。

 

 

目次
序言 Wiebke DENECKE・河野貴美子

第一章 「文」の概念を通して日本「文」学史をひらく Wiebke DENECKE
第二章 古代中国における「文」の概念の展開 渡邉義浩
第三章 「文」の思想―和文に関する思想の萌芽をめぐって 陣野英則
第四章 「文」と非「文」の世界 新川登亀男
コラム1 木簡と「文」 市大樹
第五章 モノとしての「文」―日本の書物の形態と内容の相関関係について 佐々木孝浩
コラム2 絵と文字 黒田智
第六章 目録と文庫 住吉朋彦
第七章 「文」とリテラシーの基礎 河野貴美子
コラム3 辞書・幼学書・類書・注釈 河野貴美子
コラム4 大学寮 水口幹記
コラム5 寺院の教育―僧尼志願者の「文」習得 勝浦令子
第八章 「文」と社会①―社会階層と「文」 榎本淳一
第八章 「文」と社会②―女性と「文」 神野藤昭夫
コラム6 ジェンダー理論と文 緑川真知子
第九章 経国の「文」①―文体が担う社会的機能 後藤昭雄
コラム7 外交と文 高松寿夫
第九章 経国の「文」②―『典論』「論文」の受容と勅撰集の成立 滝川幸司
第十章 文の場―「場」の変化と漢詩文・和歌・「記」 川尻秋生
コラム8 儒教の場と「文」 水口幹記
コラム9 仏教の場と「文」 平安京から長安へ―実恵の青龍寺あて書簡をめぐって 阿部龍一
コラム10 神祇信仰の場と「文」―中臣祓の変容 伊藤聡
第十一章 風流の「文」と詩歌 後藤昭雄
第十二章 漢と和の「文」①―秀句の方法 佐藤道生
第十二章 漢と和の「文」②―藤原定家に見る縁語的思考 渡部泰明
コラム11 兼作の人 堀川貴司
コラム12 歌合と連歌 高松寿夫
コラム13 詩歌合・聯句・和漢聯句 堀川貴司
コラム14 「和」に描かれる「漢」の世界―『うつほ物語』の学問と帝たち 陣野英則
コラム15 「漢(文)」で「和」を描き出す―和歌序の文体 Wiebke DENECKE
コラム16 「和(歌)」で「漢(文)」を描き出す―『日本書紀』『蒙求』に対する注釈的和歌の意義 Jennifer GUEST

あとがき 河野貴美子・Wiebke DENECKE
執筆者一覧
プロフィール

河野貴美子(こうの・きみこ)
早稲田大学文学学術院教授。専門は和漢古文献研究。
著書に『日本霊異記と中国の伝承』(勉誠社、1996年)、『東アジア世界と中国文化―文学・思想にみる伝播と再創』(張哲俊氏との共編、勉誠出版、2012年)、『東アジアの漢籍遺産―奈良を中心として』(王勇氏との共編、勉誠出版、2012年)、『日本における「文」と「ブンガク」』(ヴィーブケ・デーネーケ氏との共編、勉誠出版、2013年)などがある。

Wiebke DENECKE(ヴィーブケ・デーネーケ)
ボストン大学准教授。専門は古代・中世における中国と日本文学と思想、比較文学。
著書に“The Dynamics of Masters Literature. Early Chinese Thought from Confucius to Han Feizi.” Cambridge, MA:Harvard University Press, 2010.“Classical World Literatures. Sino-Japanese and Greco-Roman Comparisons.” New York: Oxford University Press, 2013. 『日本における「文」と「ブンガク」』(共編、勉誠出版、2013年)、論文に「「世界文学」の新しいパラダイムの展開と展望」(『文学』第13巻第4号、2012年)、「句題詩の展開―「漢―詩」から「和―詩」へ」(佐藤道生編『句題詩研究』慶応義塾大学出版会、2007年)などがある。

新川登亀男(しんかわ・ときお)
早稲田大学文学学術院教授。専門は日本古代史、アジア地域文化学。
著書に『日本古代の儀礼と表現』(吉川弘文館、1999年)、『漢字文化の成り立ちと展開』(山川出版社、2002年)、論文「文字の伝来」(石井正敏ほか編『日本の対外関係Ⅰ 東アジア世界の成立』吉川弘文館、2010年)などがある。

陣野英則(じんの・ひでのり)
早稲田大学文学学術院教授。専門は平安時代文学、物語文学。
著書に『源氏物語の話声と表現世界』(勉誠出版、2004年)、『平安文学の古注釈と受容』第一集~第三集(共編、武蔵野書院、2008~2011年)などがある。

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