東アジアにおける仏教文化の広がりをいまに伝える仏教経典。
その巻末には、書写・荘厳にかかわった人物や年月日、写経にこめた願いを文章で記した識語が残されており、当時の人々の思考や社会背景を探ることができる貴重な第一次史料である。
千二百年以上の時を越えて飛鳥・奈良時代に書き写された日本古写経の識語をほぼ網羅する71編を翻刻・訓読・現代語訳し、詳細厳密な注釈を加え、さらに写経識語のもつ多面的な意義を捉えた4本の論考と詳細な索引を収載。
日本そして東アジアの歴史・思想・文化を考えるための基礎資料を提供する。