文学史の間隙を埋める
室町―長らく「文化不毛」と評されてきたこの時代は、研究の飛躍的な進展により、豊饒な広がりをもつことが明らかになってきた。
女・語り・占いというキーワードから、皮膜に覆われていた室町の庶民文化像を炙り出す。
性愛―「性」をめぐる問題は、長らく文学史から忌避されてきた。人間存在の根源的なテーマであるにもかかわらず・・・。
社会・思想・文化が交差する結節点として「性」の問題を捉えかえし、江戸期のジェンダーの多様性、春画・春本の歴史的・文化的位置を提示する。
時間―「時(とき)」という概念がいかにして文学のなかに描かれるようになったのか。
人の紡ぐ物語には常に時が伴われる。このテーマのみでも文学史を描くべき題材であろう。
コトバと時間にまつわる様々な諸相から、人が「時」をどのように操ってきたのか、その歴史の断片をかいま見る。