東南アジア大陸部には、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアに上座仏教、ベトナムや各地の華人社会には大乗仏教が伝播する。明治期から同地域と関わった日本の仏教者は、現地に赴いて経典を求め、あるいは出家して学僧・研究者として調査・旅行を行い、戦時中には日本軍の軍属など、様々な立場から関与した。戦後では、戦没者慰霊と親善交流に関わった仏教者があり、現在では、上座仏教の外国人仏教指導者が日本で活動を行い、現地で瞑想を実践し書物を著す日本人がいる。
過去150年間に東南アジア地域に関わった日本人仏教者の動向を軸にして、仏教をめぐる人と社会、地域間の動態と推移を総合的にとらえる。