語りの文学『源氏物語』、その原点に立ち返る。
本文に忠実でありながらよみやすい。
最上の現代語訳!
源氏は明石の上との娘を二条院へ迎え、紫の上の元で育てることにする。その翌年、最愛の人藤壺が三十七歳で崩御する。その後冷泉帝は夜居の僧から自らの出生の秘密を知り恐懼する。一方、亡くなった夕顔の娘玉鬘が筑紫から上京し、六条院に迎えられる。二十歳に育っていた玉鬘は日ごとにその美しさが評判となっていく。玉鬘十帖の幕開け―。
巻末の論文では源氏物語における「短文表現」に着目し、連綿と続く本文の中に突然現れる短文が、重要な意味効用を持つことをあきらかにする。
【本書の特色】
1.美しく正しい日本語で、物語の本質である語りの姿勢を活かした訳。
2.物語本文を忠実に訳し、初の試みとして、訳文と対照させ、物語本文を下欄に示す、本文対照形式。
3.訳文に表わせない引歌の類や、地名・歳事・有職などの説明を上欄に簡明に示す。
4.敬語の語法を重視し、人物の身分や対人関係を考慮して、有効かつ丁寧に訳す。
5.物語本文で省略されている主語を適宜補い、官職名や女君・姫君などと示される人物にも適宜、( )内に呼名を示し、読解の助けとする。
6.訳文には段落を設け、小見出しを付けて内容を簡明に示す。また巻頭に「小見出し一覧」としてまとめ、巻の展開を一覧できるようにした。
7.各巻末に源氏物語の理解を深めるための付図や興味深い論文を掲載。