カートは空です。
世界が可視化され広がりをみせていく近世日本、新たな「他者」との邂逅は「日本」という自己認識を形成・変容させていった。「武」の記憶、書物のネットワーク、藩による修史事業、ナショナリズム的想像力、「近代国家」を志向する語りの諸相―。五つの視点から、自己と他者をめぐる言説が記憶となり、語られていく諸相を捉え、近世そして近代日本の世界観・思考のありかたを照らし出す。
井上泰至(いのうえ・やすし)1961年生まれ。防衛大学校教授。専門は日本近世文学(上田秋成・軍書・人情本)、近代俳句(子規・虚子)。著書に『秀吉の対外戦争』(金時徳と共著、笠間書院、2011年)、『近世刊行軍書論』(笠間書院、2014年)、『近代俳句の誕生』(日本伝統俳句協会、2015年)などがある。