カンキョウニイドムレキシガク

環境に挑む歴史学

水島司 編
ISBN 978-4-585-22149-4 Cコード 3020
刊行年月 2016年10月 判型・製本 A5判・上製 416 頁
キーワード 世界史,日本史

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細
環境が人類史にもたらした影響をどう捉えるか―

人間社会を揺さぶる〈環境〉。地震や津波が指し示す自然災害の威力は、環境が人類の歴史にとてつもなく大きなインパクトを与えてきたことを我々に知らせる。
環境とその人類史にもたらした影響を歴史学はどのようにとらえうるのか。
環境史への歴史学の取り組みとその成果を、日本から、アジア、アフリカ、ヨーロッパ地域にまで視点を広げて示す。

 

 

目次
序 環境に挑む歴史学 水島司

第一部 環境史へのアプローチ
人口と自然環境と比較史の文脈 斎藤修
地球環境問題の解釈とその解決―歴史学と自然科学の協働と融合 佐藤洋一郎
環境史・災害史研究と考古学 宮瀧交二
近年における歴史生態学の展開―世界最大の熱帯林アマゾンと人 池谷和信
環境歴史学の可能性 飯沼賢司
中国における環境史研究再考―鵜飼技術からみた自然と人間とのかかわり 卯田宗平  

第二部 地域史における環境
1.日本
歴史のなかの環境とコモンズ―日本のサケの資源利用 菅豊
棚田と水資源を活用した楠木正成 海老澤衷
環境史からみた中世の開始と終焉 高橋学
初期神仏習合と自然環境―〈神身離脱〉形式の中・日比較から 北條勝貴
火山信仰と前方後円墳 保立道久

2.中国
歴史学と自然科学―始皇帝陵の自然環境の復元 鶴間和幸
環境と人間の生活の通時的かかわり―中国海南島の事例より 梅崎昌裕
生態環境史の視点による地域史の再構築―生物多様性の歴史的変化研究のための史料について 上田信
雲南地域住民の天然資源保護・管理―十八世紀後半〜十九世紀前半の元江流域・メコン河上流域を事例として クリスチャン・ダニエルズ

3.南アジア・東南アジア
南アジアの〈環境―農耕〉系の歴史展開 応地利明
南インドの環境と農村社会の長期変動 水島司 東南アジアにおける森林管理をめぐる環境史 田中耕司

4.西アジア・中央アジア・アフリカ
気候変動とオスマン朝―「小氷期」における気候の寒冷化を中心に 澤井一彰
ナイルをめぐる神話と歴史 加藤博
地中海、砂漠とナイルの水辺のはざまで―前身伝統に対峙した外来権力の試み 長谷川奏
遊牧民の移動と国際関係―中央ユーラシア環境史の一断面 野田仁
偽バナナは消えたのか―北部エチオピアの栽培植物をめぐる歴史学的考察 石川博樹

5.ヨーロッパ・アメリカ
イギリス鉱物資源史と環境―コーンウォル半島鉱業地域の事例から 水井万里子
史料解釈と環境意識の「発見」をめぐって―中・近世イタリア都市の場合 徳橋曜
ドイツにおける環境と歴史学・環境の歴史学―ヨアヒム・ラートカウ『自然と権力―環境の世界史―』を例に 森田直子
自然環境と社会環境の連続性―ラテンアメリカにおける環境リアリティ 落合一泰
プロフィール

水島司(みずしま・つかさ)
1952年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。インドの近世から現在までの社会経済史を専攻。グローバル・ヒストリー、歴史学へのGIS(地理情報システム)の導入についても研究を進めている。
著書・編著に、『現代南アジア 六 世界システムとネットワーク』(東京大学出版会、2003年)、『前近代南インドの社会空間と社会構造』(東京大学出版会、2008年)、『グローバル・ヒストリーの挑戦』(山川出版社、2008年)、『地域研究のためのGIS』(古今書院、2009年)、『グローバル・ヒストリー入門』(山川出版社、2010年)などがある。

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