カートは空です。
人間が自然から区別された存在として自らを意識し、自ら同士の社会を形成することで、宗教は生まれた。人間は、神像や神殿などの表象で宗教観念を表現し、祭儀や儀式などの象徴行為で社会を結びつけていく。「聖域」は、そうした観念や行為が複雑に交錯する場であり、そこには、人間の精神と身体に抜き差しがたく根付いた社会行為の痕跡が深く刻印されている。
浦野聡 (うらの・さとし)立教大学文学部史学科教授。専門は古代ギリシア・ローマ史ならびに古代末期史。特に、ローマ帝国の社会について、財政、租税制度、生業、位階、宗教、農民などに着目しながら、その構造と動態の解明をめざしている。主な編著書に、『人文資料科学の現在〈1〉』立教大学人文叢書(春風社、2006年)、『古代文字史料の中心性と周縁性』(春風社、2006年)、Centrality and Marginality of Ancient Documents (Seikokai Shuppan, 2009)などがある。
・「ホンシェルジュ」(2017年4月27日)にて、本書の紹介文が掲載されました。・「読売新聞(夕刊)」(2017年9月2日)にて、本書の紹介文が掲載されました。