韓国語は方言によってアクセントのあり方が大きく異なる。韓国標準語(ソウル方言)ではアクセントの対立がないが、方言によってはアクセントの対立により意味が区別される。なかでも、韓国南東部に位置する慶尚道(慶尚南道・慶尚北道)諸方言はピッチ(高低)アクセントを有することで知られているが、いまだ研究上の課題も多い。
本書は、慶尚道諸方言が、アクセント核に加え、語声調的な特徴を併せ持つことを主張する。「位置」と「形」、二つの要素が組み合わさって見せる多様なアクセント体系の様相を方言ごとに解明し、慶尚道方言全体を見渡す新解釈を提示する。筆者の長年にわたる現地調査に基づく画期的な記述研究。