語りの文学『源氏物語』、その原点に立ち返る。
本文に忠実でありながらよみやすい。
最上の現代語訳!
第九冊は早蕨巻~東屋巻。薫二十五歳の春~二十六歳の秋までの出来事。
大君を失い、悲しみに暮れている中の君は、匂宮の住む二条院へ迎えられる。しかし、夕霧の娘六の君と匂宮が結婚したことにより、夜離れがちとなり嘆きは深まる。薫は中の君から、亡き大君によく似た異母妹・浮舟の存在を知らされる。大長編物語最後の女君の登場である。
巻末の論文では『源氏物語』における古物語の型を取り上げる。『源氏物語』はいうまでもなく、物語史上における傑作中の傑作で特別な存在である。しかし、この物語は何もないところから突然生まれたのではなく、それまでの古物語の型を多く取り入れ、生まれるべくして生まれたものであった。