カートは空です。
人びとの暮らしと多様な生き物を育む自然が調和した美しい環境、里山…。日本の原風景を残すエコロジカルな体系を体現するものとして、近年もその意義は盛んに喧伝され、世界的な関心も集めつつある。しかし、このような理解は里山のすべてを捉えているのだろうか。里山なるものが形成されるトポスがはらむ問題、歴史的に形成・構築された言説のあり方を、さまざまな視点から解きほぐしていくことにより、里山という参照軸から自然・環境をめぐる人間の価値観の交渉を明らかにする。
結城正美(ゆうき・まさみ)1969年生まれ。金沢大学人間社会研究域教授、ASLE-Japan/文学・環境学会代表。専門はエコクリティシズム、アメリカ文学。著書に『水の音の記憶―エコクリティシズムの試み』(水声社、2010年)、『他火のほうへ―食と文学のインターフェイス』(水声社、2012年)、The Routledge Companion to the Environmental Humanities, Routledge, 2017(共著)などがある。黒田智(くろだ・さとし)1970年生まれ。金沢大学人間社会研究域学校教育系教授。専門は中近世日本文化史。著書に『なぜ対馬は円く描かれたのか―国境と聖域の日本史』(朝日新聞出版、2009年)、『藤原鎌足、時空をかける―変身と再生の日本史』(吉川弘文館、2011年)、『天皇の美術史』3 乱世の王権と美術戦略(吉川弘文館、2017年、共著)などがある。
・「朝日新聞」(2017年9月3日)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:佐伯一麦(作家))・「地域人」vol.25にて、本書の紹介文が掲載されました。・「林業経済」vol.71 No.7(2018年10月)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:大住克博(鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター))