カートは空です。
鎌倉幕府三代将軍、源実朝が凶刃に倒れてから八〇〇年。その非業の死は人びとの興味を引き付け、数々の史書、歌書、伝承のなかにその姿を留めてきた。そして、現代。これほどの年を経ても、実朝への関心はいまだ失われていない。わずか二十八歳で死んだ実朝はその生涯でいったい何をし得たのか。また、語りのなかで、人びとは実朝に何を投影してきたのか。歴史・文学・文化などの諸領域からの新知見を示し、日本史上における実朝の位置を明らかにする。
渡部泰明(わたなべ・やすあき) 東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は和歌史。主な著書に『中世和歌の生成』(若草書房、1999年)、『和歌とは何か(岩波書店、2009年)、『中世和歌史論―様式と方法』(岩波書店、2017年)、などがある。