カートは空です。
かつてこの理想が追い求められた時代があった。しかし、なぜ共有したいのだろう。やり過ごしあうだけではどうしていけないのだろう。そうした欲求は、日清戦争の開戦から朝鮮戦争の休戦までの「荒れ野の六十年」が残した近代の爪痕にすぎなかったのではないか。この地域が抱える絶望的な摩擦の根源へ、古典と最新の研究の双方を対照して迫った先に見えてくる、あたらしい共存の地平とは。不毛な論争に終止符を打つ、気鋭の歴史学者による最後の論文集。
與那覇潤(よなは・じゅん)1979年生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は日本近現代史。2007年から15年にかけて地方公立大学准教授として教鞭をとり、重度のうつによる休職をへて17年離職。歴史学者としての業績に『翻訳の政治学』(岩波書店)、『帝国の残影』(NTT出版)。在職時の講義録に『中国化する日本』(文春文庫)、『日本人はなぜ存在するか』(集英社文庫)。共著多数。2018年に病気の体験を踏まえて現代の反知性主義に新たな光をあてた『知性は死なない』(文藝春秋)を発表し、執筆活動を再開。本書の姉妹編として、学者時代の時評と対談を中心に集めた『歴史がおわるまえに』(亜紀書房)がある。
★書評・紹介★「朝日新聞」(2020年2月9日)の「折々のことば」にて紹介されました。 →紹介者:鷲田清一(大阪大学、京都市立芸術大学名誉教授)「日本経済新聞」(2020年2月15日)の「半歩遅れの読書術」にて紹介されました。 →紹介者:佐藤卓己(京都大学教授)「毎日新聞」(2020年3月1日)に書評が掲載されました。 →評者:白井聡(京都精華大学専任講師)「読売新聞」(2020年3月9日)に書評が掲載されました。 →評者: 苅部直(東京大学教授)「日本経済新聞」(2020年3月19日夕刊)に書評が掲載されました。 →評者: 速水建朗(ライター)「週刊 東洋経済」(2020年4月11日号)に書評が掲載されました。 →評者:会田弘継(関西大学客員教授)「公明新聞」(2020年4月27日・4面)に書評が掲載されました。 →評者:岡本隆司(京都府立大学教授)