彼らは如何にして自身の家を存続させていったのか―
日本近世社会において、都市の支配者である武士と民衆との結節点を担った町役人。
商人などの新興勢力とのせめぎあいの中で、彼らはその職掌を守るべく、様々な手立てを講じていた。
甲斐国の甲府町年寄を代々務めたとされる坂田家、十七世紀半ばから幕末期にかけての社会変容の中で、彼らはどのようにして中世以来続く世襲町役人としての位置を確固たるものとし、近世社会を生きていったのだろうか。
伝来の文書等諸史料の博捜により明らかにし、新たな近世社会の様相を描き出す。