「古え」は、いかにして語られたのか―
近世中葉、幕府・藩の統制のもと社寺の秩序化が行われるようになると、社寺の復興、復権などを目的として「由緒」が希求されるようになった。
それら「由緒」を説く任にあたったのは、神職や僧侶、そして神道家(神学者)であった。
石上神宮・大神神社・大和神社といった山辺の古社をはじめとして大和国諸社の由緒記を述作した在地神道家、今出河一友。
由緒正しき伝―「失われた古伝」、「俗説とは異なる真の伝」の創出を企図した彼は、いかなる方法を用いて、歴史的・文化的正統性を描き出したのか。
また、その言説は、地域社会において、どのように受容され、伝播していったのか。
「古え」「淵源」を語る営みの意味を捉えかえす画期的著作。