古来、人びとの隣にはつねに「書物」があった。
その魅惑的なモノは、時に人びとの蒐集欲を掻き立て、
さまざまな人間ドラマを描きだした。
蔵書票や蔵書印、書き入れは書物に残された人びとの欲望の痕跡である。
ことに書物文化が早くから花開いたイギリスにおいては、
書物に魅せられた先人たちの驚くべきエピソードに事欠くことがない。
エリザベス1世の魔術師と畏敬されたジョン・ディー、英国書物史の異端児ジェームズ・オーチャード・ハリウェル、書誌学探偵グレアム・ポラード、喜劇王チャールズ・チャップリンなど、16世紀から20世紀に至る英国で、書物とりわけ古書に取り憑かれた人物19人をピックアップ。
数々の人びとの手を経て伝えられてきた著者所蔵の貴重な書物を紐解きながら、
人と書物のひとかたならぬ愛の物語を読み解く出版文化史。
貴重な図版を100点以上掲載!