人の営みが映し出す歴史像
西アジアは古くから都市文明や都市国家の栄えた地域である。この地につくられた都市は、市壁を備え、その内側に宗教施設や市場、居住区、城塞や宮殿を築くという特徴をもつ。各都市は、周辺の農村や街道など複数のネットワークのなかに位置し、地域社会のかなめとして機能した。遠距離交易の拠点でもある都市には、イスラーム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒のほか、旅人や商人など多様な人々が暮らしていた。
東はアフガニスタンから西はエジプトまで、学術都市、商業都市、観光都市、軍営都市、要塞都市、港湾都市など、様々な顔をもつ7~19世紀の西アジアの歴史都市に焦点をあてる。文献史料・絵図・地図の読み解きから都市社会を多角的に検証し、今に受け継がれるその歴史と文化を探る。
都市社会の多様性を描き出し、新たな歴史像を提示する。