古代歌論の総体、注釈および貴族説話のさきがけ、古代と中世における韻文散文の紐帯を解明する鍵がここにある。
約半世紀ぶりに書き換えられた『俊頼髄脳』の完全注釈。
歌病・歌体・歌枕など初期歌論書における格式の集成は、言わば、古代歌論の総集であり、それに続く歌語釈は、現存最古の和歌注釈で、かつ『江談抄』とともに貴族説話の嚆矢でもある。
定家本を底本にして顕昭本・略本系本を対校した本文に、先行資料および同時代歌論書などの文献を網羅した語釈を付す『俊頼髄脳』全注釈である。
*『俊頼髄脳(としよりずいのう)』とは
源俊頼によって書かれた歌論書。1111~1112年成立とされる。