日本には紙や絹を基底材とする多くの文化財が伝存している。
環境や利活用に影響を受けやすい脆弱な文化財を守り、伝えていく―。
この特筆すべき日本の文化は、どのように支えられてきたのか。
そこには、文化財と真摯に対峙した「ひと」、そして試行錯誤のなかで磨きあげられた修理保存に関わる「もの」「わざ」があった。
文化財を次世代へとつなぐために、研究者、装潢師の人びとは、何を考え、どのように行動してきたのか。
100年を越えてコレクションを今に伝えてきた香雪美術館の修理事業を紐解くことで、文化財を考えるための新たな視点を提示する。