社会の変容に出版をめぐる人びとはいかに対応したか―
幕末から明治初頭、猥雑卑野なる文学として評価された「戯作」は、国民国家のあるべき文学の姿のなかから転落した―。仮名垣魯文はまさにその時代を生きた戯作者であった。
モノ・情報の流通網が広がり、新聞という装置が誕生したことで、魯文ら戯作者は「事実」を物語として消費させる新たな手法を得ていく。
しかし、それは新政府による規制とのせめぎあいでもあった。
その一方で、近世期の戯作は規制に縛られた出版を打開するものとして、大量の読者を生み出し、復活を遂げていく…。
資料の博捜により移行期の出版文化のあり方を活写し、近世と近代における継承と断絶の諸相を明らかにする快著!
*『近世戯作の〈近代〉』(ISBN:978-4-585-29174-9)(2019年2月刊行)のオンデマンド版となります。