紫式部の活躍した時代の男性の文学(漢詩文)を読む。
平安時代の寛弘年間(1004~1012)、紫式部や清少納言の時代に編纂された、宮廷官僚詩人の漢詩文集『本朝麗藻』の注釈書。
『本朝麗藻簡注』(勉誠社、1993年)を全面的に改訂し、作品の内実に迫ることができるように、漢詩文の構成や平仄、漢語の「語性」に注意を払って解読した。
【本書の特徴】
・かつて小島憲之博士が言われていた「語性」を確かめるべくほぼすべての漢語について、唐以前の詩文、唐代の詩文とりわけ白詩との関連を精査・検討し、『本朝麗藻』の詩語の特徴を述べた。
・平仄や韻をはじめとする漢詩の成り立ちや詩序13編の構成について詳しく考察し、句題詩や四六駢儷文の特徴を示し、解釈に反映した。
・餘説には、作品成立の背景となった史実と比較したり、作者の置かれた状況などについて記した。また、同じ時の作品で、『本朝麗藻』には採られなかった作品などについて、さらには『源氏物語』等の他の作品との関連や影響、他文献への掲載等についても触れた。