カートは空です。
日本において古代から現在に至るまで延々と読み継がれてきた漢文。その読み方には中国から渡来した中国音で読む〈直読〉、そして、平安時代に生まれ、漢文読解の方法としてその地位を確立した〈訓読〉の二種類が存在する。しかし、古代から現代までの間に〈直読〉は消え、日本語で読む〈訓読〉がもっぱら使われるようになった。なぜ、日本では〈訓読〉優位の状況が生じたのか―。漢文を取り巻く環境を一つ一つ分析することを通して、〈直読〉から〈訓読〉への変化を追い、日本人の漢字漢文受容の歴史を描きだす。
湯沢質幸(ゆざわ・ただゆき)1943年群馬県前橋市生まれ。専門は日本語史研究。東京教育大学文学研究科修士課程修了。博士(文学)筑波大学。佐伯国語学賞。山形大学・筑波大学・京都女子大学に勤務。著書に『唐音の研究』(勉誠社、1987年)、『日本漢字音史論考』(勉誠社、1996年)、『古代日本人と外国語』・同「増補改訂」(勉誠出版、2011年)、『音声・音韻探求法』(松崎寛と共著、朝倉書店、2004年)、 『近世儒学韻学と唐音』(勉誠出版、2014年)、『漢字は日本でどう生きてきたか』(開拓社、2017年)などがある。