アジア遊学198
ウミヲワタルシショ

海を渡る史書

東アジアの「通鑑」
金時徳・濱野靖一郎 編
ISBN 978-4-585-22664-2 Cコード 1320
刊行年月 2016年6月 判型・製本 A5判・並製 224 頁
キーワード 思想,古典,東アジア,近世

定価:2,200円
(本体 2,000円) ポイント:60pt

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書籍の詳細

中国宋代、司馬光により編まれた編年体の史書『資治通鑑』。
それは新たな史書の典型として、朝鮮の『東国通鑑』、日本の『本朝通鑑』など、一群の「通鑑」の名を冠する書籍を生み出すこととなった―。
2014年に韓国で再発見された『新刊東国通鑑』の板木を起点に、東アジア世界の歴史叙述に大きな影響を与えた「通鑑」の思想と展開を探る。

 

 

目次
序―板木の森を彷徨い、交流の海に至る 金時徳

新たな史書の典型―「通鑑」の誕生と継承
 『資治通鑑』の思想とその淵源 福島正
 明清に於ける「通鑑」―史書と政治 高橋亨

『東国通鑑』と朝鮮王朝―受容と展開
 朝鮮王朝における『資治通鑑』の受容とその理解 許太榕(翻訳:金時徳)
 『東国通鑑』の史論 兪英玉(翻訳:金時徳)
 朝鮮時代における『東国通鑑』の刊行と享受 白丞鎬(翻訳:金時徳)
 『東国通鑑』とその周辺―『東史綱目』 咸泳大(翻訳:金時徳)

海を渡る「通鑑」―和刻本『東国通鑑』
 朝鮮本『東国通鑑』の日本での流伝及び刊行 李裕利
 『新刊東国通鑑』板木の現状について 金時徳
 ◆コラム 長谷川好道と東国通鑑 辻大和

島国の「通鑑」-史書編纂と歴史叙述
 林家の学問と『本朝通鑑』 澤井啓一
 『本朝通鑑』の編修とその時代 藤實久美子
 琉球の編年体史書 高津孝

読みかえられる史書―歴史の「正統」と「正当化」
 水戸学と「正統」 大川 真
 崎門における歴史と政治 清水則夫
 伊藤東涯と朝鮮―その著作にみる関心の所在 阿部光麿
 徳川時代に於ける漢学者達の朝鮮観―朝鮮出兵を軸に 濱野靖一郎
 ◆コラム 『東国通鑑』をめぐる逆説―歴史の歪曲と帝国的行動の中で 井上泰至

編集後記 濱野靖一郎
プロフィール

金時徳(キム・シドク)
ソウル大学奎章閣韓国学研究院教授。専門は日本文献学、戦争史。
著書に『異国征伐戦記の世界』(笠間書院、2010年)、『壬辰戦争関連日本文献解題―近世編』(moon、2010年、共著、韓国語)、『校勘解説懲毖録』(acanet、2013年、韓国語)などがある。

濱野靖一郎(はまの・せいいちろう)
日本学術振興会特別研究員PD。専門は日本政治思想史・日本漢文学・中国思想史。
著書に『頼山陽の思想 日本における政治学の誕生』(東京大学出版会、2014年・日本思想史学会奨励賞受賞)がある。

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