研究概念の構築から射程の拡大、そして文書実践論へ
中世の地域社会における文書利用の実態を、中央の権門からではなく、荘園・公領の現地の視点から総体的に把握するために2014年に提起された研究概念「地下文書」。
「地下文書」は日本中世史研究の諸領域の中でどのように位置づけることができるのか。
荘園制研究、村落史研究、都市・商業史研究、在地領主研究など様々な分野にこの研究概念を適用することで見いだされる論点や課題を提示する。さらに、文書実践の観点から論じた実証研究の成果に加え、隣接分野から地下文書論を評価する論考も掲載。
中世地下文書論の成果と課題を体系的に論じ、その方法論・研究実践の到達点と今後の展望を示す。