アジア遊学310
ウミトリクノハザマ

海と陸のはざま

アジア・太平洋の干潟文化を語る
秋道智彌・辻貴志 編
ISBN 978-4-585-32556-7 Cコード 1345
刊行年月 2025年10月 判型・製本 A5判・並製 312 頁
キーワード 環境,民俗学,東アジア,アジア,考古

定価:3,850円
(本体 3,500円) ポイント:105pt

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書籍の詳細
人類と干潟とのかかわりを考える――

干潟とは、海と陸とのはざまに発達した領域であり、生態学的移行帯(エコトーン)でもある。
干潟の文化は先史時代から連綿と継承されてきた海辺の文化資産であり、そこに生息する生き物は、ヒトにさまざまな種類の食料をもたらしてきた。
しかし、今日、干潟は埋め立てや護岸工事による破壊、干拓による農耕地化や住宅建設などの、人為による環境破壊により危機的な状態にある。
干潟文化を東アジア、東南アジア、オセアニアの比較事例からひもとき、干潟文化を具体的かつ多面的な次元で考究。考古学、人類学、地域研究、民俗学、地理学、環境社会学などの多様な側面から、「干潟文化」に総合的にアプローチする。
人類が平等かつ心豊かに生きるためのヒントを秘めている干潟。
人類と生き物にとっての干潟の意義について地球規模の視座から理解を促す。

 

 

目次
カラー口絵

【序論】アジアの干潟を探る◉秋道智彌

第Ⅰ部 干潟の歴史と文化
ベトナムの干潟漁からみる、二〇〇年のマングローブと干潟のつながり◉鈴木伸二
パプアニューギニアの干潟貝類と貝貨◉門馬一平
先史琉球列島の貝類を運ぶネットワーク◉山野ケン陽次郎
[コラム]干潟のにぎわい―漂海民モーケンの女性たち◉宮澤京子
観光化に揺れる干潟―フィリピン・ボホール州パングラオ島の事例◉シンチア・ネリ・ザヤス(翻訳・辻貴志)

第Ⅱ部 干潟の漁撈文化
川がつなぐ陸と干潟◉藤村美穂
魚垣が繋ぐ命―琉球列島の伝統漁法と生物文化多様性◉上村真仁
[コラム]旧児島湾の干拓の進展と樫木網漁の変遷◉真鍋篤行
[コラム]干潟の伝統漁具「石干見」◉田和正孝
韓国の干潟と漁撈◉李恵燕
台湾における石滬研究の現在◉田和正孝
干潟における生物採捕のわざ―フィリピン・パラワン島南部の先住民モルボッグの事例◉辻 貴志

第Ⅲ部 干潟の生き物と食
富山湾沿岸の縄文時代の干潟と食からみた小竹貝塚の人と水辺の関わり◉納屋内高史
[コラム]肥料としての干潟の生き物・貝〈イボキサゴ〉―東京内湾の事例から◉秋山笑子
近代日本の干潟にみる多様な漁業と食◉秋道智彌
とって・食べる―おやつもおかずとりも金儲けも◉野中健一
[コラム]イオウを味わう―西太平洋地域におけるマングローブ泥干潟のツキガイ利用◉池口明子

第Ⅳ部 干潟の保全と未来
社会的エコトーンとしてのマングローブ干潟―インドネシア南スラウェシ州の調査から◉田中耕司
干潟の生物資源と環境保全◉石川智士
[コラム]アジアの干潟の絶滅危惧種カブトガニ―日本の教訓◉清野聡子
和白干潟の自然と保全活動について◉山本廣子

【あとがき】「干潟文化学」の構築に向けてのプロローグ◉辻 貴志
プロフィール

秋道智彌(あきみち・ともや)
山梨県立富士山世界遺産センター所長。専門は生態人類学、海洋民族学、民族生物学。
主な編著書に『魚と人の文明論』(臨川書店、2017年)、『交錯する世界 自然と文化の再構築 フィリップ・デスコラとの対話』(編著、京都大学学術出版会、2018年)、『たたきの人類史』(玉川大学出版部、2019年)、『絶滅危惧種を喰らう』(秋道智彌・岩崎望編、勉誠出版、2021年)、『霊峰の文化史―世界遺産・富士山と世界の山岳信仰』(勉誠社、2023年)などがある。

辻 貴志(つじ・たかし)
アジア太平洋無形文化遺産研究センター(IRCI)・アソシエイトフェロー。専門は生態人類学・民族生物学・民族科学。
主な論文に「フィリピン・パラワン島南部の焼畑漁撈民パラワンの鳥の狩猟罠」(野田研一・奥野克巳編『鳥と人間をめぐる思考―環境文学と人類学の対話』勉誠出版、2016年)、「スイギュウの「再ドメスティケーション」―フィリピンのカラバオの乳用化とポリティカルな力学」卯田宗平編『野生性と人類の論理―ポスト・ドメスティケーションを捉える四つの思考』(東京大学出版会、2021年)、「ミルクから見る適応と進化―フィリピンにおける水牛ミルク摂取と乳糖不耐症」(稲岡司編『生態人類学は挑むSession3 病む・癒す』京都大学学術出版会、2021年)などがある。

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