和歌とは一体いかなるものであるのか――
仏教の思想と文化が広まり、定着していった中世日本において、その問いの答えは、天竺・中国・日本の三国にわたる世界認識・言語意識のなかに求められていった。
仏教に由来する言語表現や論理を、和歌はどのように受け容れたのか。その受容のなかで、和歌・和語をめぐる表現や思想はどのように深化・展開していったのか。
和歌・連歌の表現、それをめぐる注釈や説話、さらには密教学、悉曇学、神道説の言説など、和歌にまつわる「ことば」への意識と葛藤を記した諸資料を通覧・分析し、これまで見落とされてきた「もう一つの和歌史」を描き出す画期的成果。