カートは空です。
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「今は昔」と始められる物語のかたちがあった―〈物語の出で来はじめの祖〉『竹取物語』を嚆矢とするこの日本文学史上特筆すべき形式は、天竺・震旦・本朝の三国仏教史を描き出す額縁として、再度文学史上の一態として、選択され、復活する。散逸「宇治大納言物語」から『今昔物語集』、そして『宇治拾遺物語』へ。〈いま〉と〈むかし〉が交錯し、物語世界の連環が揺れ動く。〈和語〉による伝承物語(=説話)文学の起源と達成を解明する。
荒木浩(あらき・ひろし)1959年生まれ。京都大学文学部卒、同大学院博士後期課程中退(国語学国文学専攻)。大阪大学教授などを経て、現在国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授。主要著書に、新日本古典文学大系41『古事談 続古事談』(岩波書店、川端善明と共著)、『日本文学 二重の顔 〈成る〉ことの詩学へ』(大阪大学出版会)などがある。