ミシマユキオトシンカクテンノウ

三島由紀夫と神格天皇

藤野博 著
ISBN 978-4-585-29033-9 Cコード 0095
刊行年月 2012年6月 判型・製本 四六判・上製 296 頁
キーワード 評論,思想,近現代

定価:3,850円
(本体 3,500円) ポイント:105pt

 品切 
書籍の詳細
「倫理の不滅性」を訴えた素顔の三島由紀夫がいま蘇える

「天皇(すめろぎ)はなどて人となりたまいしか」
天皇は日本人と日本の伝統の象徴であるがゆえに超越的絶対神でなければならなかった。
巨大な問題提起者・思想的刺激者である三島由紀夫の天皇観を緻密に分析し、「死の真相」を解き明かす。

 

 

目次
はじめに
 一 なぜ「三島由紀夫と天皇」なのか

 二 本論考の意図と概要

第一章 三島由紀夫の天皇意識を内観する
 三笠・長門見学/大詔/遺言/昭和廿年八月の記念に/軽王子と衣通姫/花山院/最高の偽善者として―皇太子殿下への手紙/愉しき御航海を―皇太子殿下へ/祝婚歌 カンタータ―日本書紀巻第十七 勾大兄の皇子と春日の皇女の婚姻の相聞歌のパロディ/『鏡子の家』/『憂国』/『十日の菊』/『英霊の声』/二・二六事件と私/三島由紀夫氏の〝人間天皇〟批判―小説『英霊の声』が投げた波紋/『対話・日本人論』/文武両道と死の哲学/『朱雀家の滅亡』/『道義的革命』の論理―磯部一等主計の遺稿について/『春の雪』/『奔馬』/二・二六事件について/『文化防衛論』/橋川文三氏への公開状/反革命宣言/国家革新の原理―学生とのティーチ・イン/『討論 三島由紀夫vs.東大全共闘―《美と共同体と東大闘争》』/北一輝論―『日本改造法案大綱』を中心として/守るべきものの価値―われわれは何を選択するか/『日本文学小史』/『椿説弓張月』/問題提起(日本国憲法)/『変革の思想』とは―道理の実現/三島由紀夫 最後の言葉

第二章  三島由紀夫の天皇観を解析する
 一 持続性
 吉本隆明との対比/戦争と自己の連続性の根拠としての天皇

 二 心情性
 北一輝と三島由紀夫/三島由紀夫における天皇崇拝の特異性/特殊な環境の影響力/日本の古典への傾倒/パトスによる天皇体験

 三 神格性
 古代から近世までの天皇神格性/大日本帝国憲法下の天皇神格性/戦後の象徴天皇/天皇とキリスト教的絶対神/天皇親政/二・二六事件と昭和天皇

 四 倫理性
 忠義の対象としての天皇/吉田松陰と三島由紀夫/教育勅語の忠君道徳/三島由紀夫の生活道徳観/忠義の精神と自決

 五 象徴性
 (一)革新の象徴
 西田幾多郎との近縁性/暴力とテロリズム
 (二)宿命に対する自由の象徴
 福澤諭吉と三島由紀夫
 (三)日本文化の象徴
 天皇と日本文化/和辻哲郎・津田左右吉・丸山眞男と三島由紀夫
 (四)容共政権を防ぐ装置の象徴
 (五)憲法上の「象徴」
 三つの問題提起/制定時の憲法解釈/国体の問題/天皇の地位と国民主権との関係/「象徴」の根拠とその意味
 (六)三島由紀夫の天皇観を総合する
 五つの特性の構造的解析/三島由紀夫の「素顔・裸体」と「仮面・衣裳」/二元論の宝庫/巨大な「問題提起者」

第三章 三島由紀夫の鎮魂を祈念する
 論理的解析では解けない謎/倫理的な死/絶対神の渇仰/交霊する文学者たち/「魂魄の永生」を祈願する

あとがき

参考文献
プロフィール

藤野博(ふじの・ひろし)
1943年札幌市生まれ。1965年慶應義塾大学文学部哲学科卒業。1965から2003年まで北海道立高等学校教員。
現在、専門学校・高校にて非常勤講師を務める。

書評・関連書等

「北海道新聞」(2012年8月5日)の「ほん」欄にて、本書の紹介文が掲載されました。

★広告情報
「産経新聞」(2018年9月25日)に5段1/2広告を掲載しました。

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