世界に誇る大長編・大傑作の完全版を初公開!
明治・大正・昭和の激動の世紀に、日本人はいかに苦難と苦悩の道を歩み、希望をつないできたか。時代の証言として描く近代精神史。
秋田勤務に幻滅、追い打ちする失恋。その苦境に、無償の愛で世界に目を向けさせる養父。この人こそわが父、と次郎は親子の契りを再認識する。役人仕事に見切りをつけ、パリ留学を決めて結婚。憧れの国フランスへ、自分の過去からの旅立ち…。
*本巻「人間の運命7 結婚―第一部第六巻」は、新潮社版『人間の運命』第六巻「結婚」(昭39・9初版、昭48・1刊26刷)の著者訂正本を底本とし、やはり著者の校閲した新潮文庫版『人間の運命(三)』(昭51・2刊)を参照した。著者訂正本の見返しには、「一九八五年夏訂正終わる」として、「このあと書きと、第一巻のあとがきとを、柴田君へというようにして、随想に加うべきだろう」と覚えが見える。(勝呂奏)