世界に誇る大長編・大傑作の完全版を初公開!
明治・大正・昭和の激動の世紀に、日本人はいかに苦難と苦悩の道を歩み、希望をつないできたか。時代の証言として描く近代精神史。
昭和26年、スイスでの国際ペン大会参加のため出国。
敗戦国民は捕虜ゆえ、どの国でも旅券の給付をしぶる。
国家とは何か、国籍とは何か。帰化人や留学生の外国での生き様、ペールの眠るスイス・モンテローザへの旅、フランスの親友との再会。
愛知の鉄道建設に生涯をかけた岳父の死と相続問題、様々な人生。
講和条約締結と日本の将来への憂慮。
*本巻「人間の運命16 遠ざかった明日」は、新潮社版『遠ざかった明日』(昭47・1初版)を底本としたが、他の巻の場合のような著者訂正本は残されていない。15巻「再会」の「終章」を削除したことで、初刊のままで連続すると判断したと考えられる。なお、表記等の統一には、著者の校閲した新潮社版『芹澤光治良作品集 第6巻』(昭49・8刊)を参照した。元版に付けられた「あとがき」は、「人間の運命 別巻2」に収録する。(勝呂奏)