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文字文芸の基盤には、文字にならない口承の言語伝承が確実に存在している。そして説話には、その表現を根底から支える原理的な枠組みがある。「文献そのものの解明」から脱却し、相互の影響関係や受容関係に捕らわれず、「話型」・「表現」に着目することにより、地域的な文化や歴史の異なりなどが織り重なる説話の深層に踏み込む。説話を「立体的」に捉えるための方法論。
廣田收(ひろた・おさむ)1949年大阪府豊中市生まれ。1973年3月同志社大学文学部国文学専攻卒業。1976年3月同志社大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。専攻は古代・中世の物語・説話の研究。博士(国文学)。同志社大学文学部教授。著著に『『宇治拾遺物語』表現の研究』(笠間書院、2003年)、『『宇治拾遺物語』「世俗説話」の研究』(笠間書院、2004年)、『『源氏物語』系譜と構造』(笠間書院、2007年)、『『宇治拾遺物語』の中の昔話』(新典社、2009年)『講義 日本物語文学小史』(金壽堂出版、2009年)、『講義『源氏物語』とは何か』(平安書院(自刊)、2011年)、『家集の中の「紫式部」』(新典社、2012年)、『『紫式部集』歌の場と表現』(笠間書院、2012年)、『帝位・見果てぬ夢の物語 皇位継承伝説』(平安書院(自刊)、2013 年)。共編著に『これからの日本文学』(丸山顕徳・西端幸雄・三浦俊介と共編、金壽堂出版、2001年)、『紫式部集大成 実践女子大学本・瑞光寺本・陽明文庫本』(横井孝・久保田孝夫と共編、笠間書院、2008年)、『紫式部と和歌の世界 一冊で読む紫式部家集』(上原作和と共著、武蔵野書院、2011年)、『紫式部集からの挑発』(横井孝・久保田孝夫と共編、笠間書院、2014年)。