アジア遊学263
ムロマチゼンキノブンカシャカイシュウキョウ

室町前期の文化・社会・宗教

『三国伝記』を読みとく
小助川元太・橋本正俊 編
ISBN 978-4-585-32509-3 Cコード 1314
刊行年月 2021年11月 判型・製本 A5判・並製 240 頁
キーワード 文化史,宗教,説話,古典,中国,アジア,日本史,室町,中世

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
『三国伝記』とは何だったのか―

室町時代に成立した、インド・中国・日本の三国にわたる説話集である『三国伝記』。
この作品が生まれた室町前期、とくに応永・永享期という北山文化と東山文化の狭間の時代の文化的状況はどのようなものだったのか。
作品としての『三国伝記』を再評価し、同時に、周辺作品や同時代資料から窺えるこの時代の人々の国際感覚や、彼らの置かれていた宗教的環境、社会的状況や文化的状況などを照らし出し、『三国伝記』という作品が生まれた室町前期という時代を捉え直す。

 

 

目次
[序言]本書の見取り図―『三国伝記』から読み解く時代と作品 小助川元太

Ⅰ 『三国伝記』から見る室町前期
『三国伝記』に見る室町前期の唐招提寺縁起 橋本正俊
夢窓派の応永期 川本慎自
【コラム】足利直冬の上洛・没落と石塔・桃井・山名・斯波―『三国伝記』が描いたもの・描かなかったもの 谷口雄太
【コラム】六角満高の近江国支配 新谷和之

Ⅱ 『三国伝記』の宗教的環境
『三国伝記』生成の前夜―琵琶湖東の宗教的環境の一端〈倍山と常陸・出羽・濃尾〉 牧野和夫
『三国伝記』巻第十二「仏舎利勝利事」と『釈尊御舎利儀記』 高橋悠介
『三国伝記』における「霊地」考 柏原康人
【コラム】室町殿の外出と寺院 細川武稔

Ⅲ 『三国伝記』という「作品」を読みなおす
〝三国伝記〞という編述 竹村信治
『三国伝記』と禅律僧―「行」を志向する説話集 小林直樹
三国伝記と韓朋賦―変文と説話㈢ 黒田彰
【コラム】連環する中世 鈴木元
【コラム】馬鳴・龍樹をめぐる因縁とその諸相―『三国伝記』巻一第七を端緒として 本井牧子

Ⅳ 『三国伝記』とその周辺
『三国伝記』における韓湘説話の主題 三田明弘
『壒嚢鈔』と『三国伝記』―斑足王説話の比較を中心に 小助川元太
素材としての説話―『三国伝記』と『沙石集』 加美甲多
【コラム】『三国伝記』が伝える室町期の三国志受容 田中尚子
【コラム】室町時代における『太平記』の享受―『応仁記』を中心に 小秋元段
プロフィール

小助川元太(こすけがわ・がんた)
愛媛大学教授。専門は中世日本文学、主に軍記物語・説話。
主な著書・論文に『行誉編『壒嚢鈔』の研究』(三弥井書店、2006年)、「醍醐寺所蔵『僧某年譜』考―『壒嚢鈔』編者に関する一級資料発見」(『国語国文』第七七―二号、2008年2月)、「類書・注釈書と『太平記』の関係―『壒嚢鈔』の『太平記』利用」(松尾葦江編『軍記物語講座 第三巻 平和の世は来るか―太平記』、花鳥社、2019年)などがある。

橋本正俊(はしもと・まさとし) 
摂南大学外国語学部教授。専門は日本中世文学。
主な論文に「神々を配置する―熊野・白山と伊奘諾・伊奘冉」(『日本文学』68巻7号、2019年)、「『源平盛衰記』全釈」(共著、『名古屋学院大学論集(人文・自然科学編)』43巻2号〜、2006年〜)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「史学雑誌」第131編第6号(史学会、2022年7月21日発売)にて紹介されました。
 →紹介者:相馬和将氏

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