チョウイキスルイカイ

超域する異界

大野寿子 編
ISBN 978-4-585-29050-6 Cコード 1090
刊行年月 2013年2月 判型・製本 A5判・上製 400 頁
キーワード 民俗学,西洋,近現代,近世

定価:7,150円
(本体 6,500円) ポイント:195pt

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書籍の詳細
なぜ人間は異界を語るのか

国境を超え時間的制約を逃れ、人間の日常および精神生活の裏、奥、外に必要不可欠な空間領域として想像される「異界」― the other world ―。
その諸相を、グリム童話から日本の民話、ドイツ・中国・日本における文学・音楽・絵画表象、言語学からコミュニケーション研究に至るまで、空間、時間、学術分野の境界を超え、「超域」的に考察する。洋の東西を問わず、古代から現代に至るまで、人間の精神文化のなかに表現やかたちを変えながら遍在する「異なるもの」の多面的価値を浮き彫りにする。 

 

 

目次
序章 異界を超域する試み 大野寿子

第一章 西洋における伝統的な異界とその表現―ドイツ伝承文学・比較民話学・音楽学―
 民話における「異界」との交流を可能とする仕掛け 竹原威滋
 ドイツの民間伝承における異界と異人 溝井裕一
 『グリム童話』における「異界」―死者の化身と死者世界をめぐる一考察― 大野寿子
 グスタフ・マーラーにみる「異界」と越境の音楽表現 山本まり子

第二章 東洋における伝統的な異界とその表現―中国古典文学・日本近世文学・美術史―
 洞天の風景―神仙グロットの地誌― 山田利明
 黄表紙における異界表象―山東京伝『箱入娘面屋人魚』を例として― 松岡芳恵
 弥次喜多の旅は異界への旅か―『東海道中膝栗毛』の一つの読み方― 中山尚夫
 描かれた「異界」―江戸時代絵画と異界表現― 藤澤紫

第三章 近現代の日本における総合体としての異界とその表現
    ―日本語学と日本文学の一九―二一世紀―
 句から語へ―「魔ヲ使フ女」から「魔女」への移行を一例として― 木村一
 歴史と「異界」の交錯―中里介山「夢殿」論― 早川芳枝
 現代日本文学における「異界」の諸相
 ―村上春樹から現代ホラー小説、家族小説、戦争文学まで― 石田仁志

第四章 現代日本における異界思想とその超域―言説史・社会言語学・文化原理考想―
 「異界」の諸相―語誌の展開をめぐって― 池原陽斉
 「異なものとの交流」としての異文化コミュニケーション 渡辺学
 超域する「異界」とは何か?―Meta2の冒険― 高橋吉文

おわりに 大野寿子
プロフィール

大野寿子(おおの・ひさこ)
東洋大学文学部准教授。愛知教育大学専任講師を経て、2007年より東洋大学文学部准教授。専門はドイツ文学・民俗学。グリム童話を中心としたグリム兄弟の業績を、文献学的立場から研究。研究テーマとして、森と人間との関わりなど。
主な著書に、『黒い森のグリム―ドイツ的なフォークロア』(郁文堂、2008年)などがある。

書評・関連書等

・九州大学独文学会発行の「九州ドイツ文学」第27号にて、本書の書評が掲載されました。
・日本独文学会西日本支部発行の「西日本ドイツ文学」第27号にて、本書の書評が掲載されました。

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