近世長崎から垣間見る新たな歴史像
西の果て、長崎。江戸より遠く離れたこの辺境の地に、徳川幕府は東西交流の舞台(ステージ)を設けた。その舞台を流れる時間は、ポルトガル時代、オランダ時代そして明・清交代期というもう一つの歴史年表で描かれるべき時空であった。
江戸と中国、朝鮮と琉球をつなぐ円の中心に位置し、東シナ海における当時の国際交流の中心地であった長崎という「場」に着目、人・モノ・文化の結節点において紡がれた歴史・文化の諸相を描き出す。
本冊では、黄檗文化をもたらした明清時代の中国との交流、そして、幕府による長崎という場の支配、その中で培われた異文化交流の諸相を取り上げる。