ホンヨミノミンゾクシ

「本読み」の民俗誌

交叉する文字と語り
川島秀一 著
ISBN 978-4-585-23081-6 Cコード 1039
刊行年月 2020年6月 判型・製本 四六判・上製 320 頁
キーワード 文化史,民俗学

定価:3,850円
(本体 3,500円) ポイント:105pt

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書籍の詳細
〈本〉と呼ばれるモノはいかに民俗社会と関わってきたのか

宗教的な講や田の水引きの農作業など村人が集まる機会に、独特の節回しで本を読んで聞かせる人びと、ホンヨミ。彼らによって読み伝えられた物語や由緒は、語り継がれ、また、時には書き写されながら、地域社会の共通の知となっていった。
地域社会において、〈本〉は、そして〈読む〉ことと〈書く〉ことはどのような意味を持っていたのか。三陸地方を中心に、ホンヨミに触れてきた人びとへの直接の取材から浮かび上がる民俗社会を描き出す。

 

 

目次
はじめに―声なき文字の時代を迎えて

第一部 「本読み」の民俗
 第一章 「本読み」の民俗―宮城県気仙沼地方の事例から
   はじめに―永浦誠喜翁の「物語り的なもの」
   「本読み」の研究方法
   門付けの「本読み」
   家庭の「本読み」
   ムラの「本読み」
   おわりに
 第二章 文字を聞く・文字を語る―「本読み」の民俗誌
   音読と共同的読書
   漁村の〈本読み〉
   山村の〈本読み〉
   文字は語りを駆逐したのか

第二部 書物と語り
 第一章 語り伝えと書き伝え―「歌津敵討ち」をめぐって
   はじめに
   「歌津敵討ち」のテクスト
   「歌津敵討ち」挿話の意味
   伝承現場としてのカツオ船
   おわりに
 第二章 「女川口説」の伝承誌
   「口説」の研究史
   「口説」の伝承状況
   「女川口説」のテクスト
   「女川口説」の伝説化
   おわりに
 第三章 ムラの歴史を語ること―仙台藩入谷村の「郷土誌」の発生
   はじめに
   「入谷安部物語り」の書誌
   「入谷安部物語り」と書承世界
   「入谷安部物語り」と口承世界
   おわりに
 第四章 「入谷安部物語」の伝承世界
   はじめに
   安部泰武の生涯と作成本
   「入谷安部物語り」の書承状況
   「物語」から「記」へ
   おわりに―口承と書承の世界をめぐって

第三部 漁村社会と文字文化―呪いから漁業権まで
 第一章 「歌詠み」の民俗―宮城県気仙沼地方の事例から
   はじめに―「歌詠み」の用語例
   ムラに来た「歌詠み」
   ムラの「歌詠み」
   おわりに
 第二章 花渕善兵衛のお通りだ―蛇除けの呪いを伝える家の伝承
   はじめに―花渕家の始祖伝承
   蛇除けのお札の作り方
   「蛇除家法授帳」の依頼状況
   七ヶ浜町花渕浜の伝承
   訴訟文書の中の花渕善兵衛
 第三章 鮭漁をめぐる伝説と歴史伝承―気仙川の漁業権の解放と規制
   はじめに
   気仙川の「鮭の大助」
   「鮭の大助」の古文書資料
   「村上道慶」の歴史伝承
   「村上道慶」の古文書資料
   一〇月二〇日の意味
 第四章 「浮鯛抄」をめぐる文字と口頭の伝承
   はじめに
   「浮鯛抄」の構造
   「浮鯛抄」の伝承状況
   能地以外の「浮鯛抄」
   「簡略本」の識語
   浮鯛漁と浮鯛祭り
   おわりに

まとめに―「本読み」から「民俗書記」へ

あとがき
初出一覧
プロフィール

川島秀一(かわしま・しゅういち)
1952年生まれ。東北大学災害科学国際研究所シニア研究員。専門は民俗学。
著書に『漁撈伝承』(法政大学出版局、2003年)、『憑霊の民俗』(三弥井書店、2003年)、『津波のまちに生きて』(冨山房インターナショナル、2012年)、『海と生きる作法』(冨山房インターナショナル、2017年)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「北國新聞」(2020年8月29日19面読書欄)に書評が掲載されました。
 →評者:畑中章宏氏(民俗学者)
「中部経済新聞」(2020年9月5日)に書評が掲載されました。
 →評者:畑中章宏氏(民俗学者)
「沖縄タイムス」(2020年9月12日朝刊読書15面)に書評が掲載されました。
 →評者:畑中章宏(民俗学者)
「信濃毎日新聞」(2020年9月13日)に書評が掲載されました。
 →評者:畑中章宏氏(民俗学者)
「日本経済新聞」(2020年12月17日・夕刊)「読書日記」で紹介されました。
 →評者:東雅夫氏(アンソロジスト)

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