カートは空です。
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伝承は消滅しつつある――諦念を含みこんだこの語りを耳にすることは多い。そこには、伝承は旧来のあり方を保存したまま持続すべきであるという意識が横たわっている。しかし、伝承とは、そもそも不変で静態的な存在なのであろうか。伝えていく行為とその主体への視点から、伝承を変わりゆく動態的なものと捉え返し、人びとの生活世界における伝承の実態を子細に分析することにより、現代における伝承の力を問い直す視点を提供する意欲作。
加藤秀雄(かとう・ひでお)滋賀県立琵琶湖博物館研究部学芸員。民俗学専攻。博士(文学)。1983年、大分県別府市生まれ。2012年、成城大学大学院文学研究科博士課程後期満期退学。国立歴史民俗博物館機関研究員/成城大学民俗学研究所研究員を経て現職。主著に『東日本大震災と民俗学』(共編、成城大学グローカル研究センター、2019年)、『柳田国男以後・民俗学の再生に向けて―アカデミズムと野の学の緊張』(分担執筆、梟社、2019年)、『犬からみた人類史』(分担執筆、勉誠出版、2019年)などがある。