17世紀を代表する文人僧として日本文化史に巨大な足跡を遺した深草元政上人(1623~1668)。
その遺業は中世から近世に至る移行期の日本文化の実態を解明する上で詳細に分析されるべきものである。
京都市伏見区深草の元政庵瑞光寺にのみ所蔵される元政上人自筆資料を中心に、彼を取り巻く文人たちの写本資料も併せて翻刻紹介。
江戸時代の文化・歴史研究のみならず中世文学や日本仏教学とも繋がりを持つ、膨大かつ貴重な新出資料集として日本研究に幅広く資する。
*深草元政上人(1623-1668)
江戸時代前期の日蓮宗の僧。
武士の子として京に生まれ、彦根藩士となるも生来病弱のため26歳で致仕出家、その後、深草に庵を結び、46歳で遷化するまでの歳月を、祖師日蓮上人と法華経の教えに従い、戒律を守りひたむきな仏道修業に生きた人として知られている。
幼少のころより古典を愛し、文学の人としても著名。松永貞徳や熊沢蕃山、北村季吟、石川丈山など様々な分野の人びとと交友関係を有し、その多岐にわたる著作は多くが出版され、広く読者を得た。
主要著作に『龍華歴代師承伝』『本朝法華伝』『釈氏二十四孝』『扶桑隠逸伝』『身延道の記』『温泉遊草』『温泉再遊』『元元唱和集』『聖凡唱和』『草山和歌集』などがある。