モノトケンイノヒガシアジアコウリュウシ

モノと権威の東アジア交流史

鑑真から清盛まで
シャルロッテ・フォン・ヴェアシュア 著
ISBN 978-4-585-32022-7 Cコード 3020
刊行年月 2023年4月 判型・製本 四六判・上製 368 頁
キーワード 文化史,交流史,東アジア,世界史,日本史,古代

定価:5,280円
(本体 4,800円) ポイント:144pt

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書籍の詳細
対外交易の歴史的意義を探る

古代東アジアにおいて、対外交易はごく限られた機会のものであったが、それだけに一層、各国の政治や文化の形成に大きなインパクトを与えてきた。
特に日本においては、中国や朝鮮半島から伝わる最新の情報やモノは、権威の象徴としても重要な位置を占めるものであった。
「モノ」「ヒト」「情報」など諸種の要素を仔細に検討することで、政治・経済・文化にわたる重層的な「対外交易」の実態と歴史的意義を照射。
物質文化史・対外関係史・農業史・比較史など多角的な視点を駆使し、従来の歴史理解へ新たな観点を提示してきた著者による、長編の書き下ろしを含む最新論集。

 

 

目次
巻頭言 鈴木靖民(國學院大學名誉教授)

第一章 九世紀日本の情報輸入体制
 はじめに
 一 暦の伝来
 二 医学撰書事業
 三 遣唐使に何が求められたか
 四 「遠効皇華」の使命
 五 数少ないエキスパート
 六 漢籍輸入の使命
 七 古代の漢籍型ITインフラ
 おわりに

第二章 帰国後の遣唐使の待遇について
 はじめに
 一 遣唐使帰国後の叙位について
 二 叙位以外の待遇
 三 二人の遣唐使のキャリア
 おわりに


第三章 唐・宋における日本蓬莱観と水銀輸入について
 はじめに
 一 徐福の日本渡来伝説はいつ、どこで生まれたか
 二 日本における蓬莱觀と扶桑觀
 三 中国における日本蓬莱觀と日本扶桑觀
 四 不老不死丹薬原料の産地日本
 五 日本における朱砂と水銀の使い方とその評価価値
 六 水銀の輸出国日本
 七 もう一つの水銀
 八 唐宋で至宝とされていた自然水銀
 おわりに

第四章 水銀と虎の皮―日渤関係における特産品
 一 海を渡った人々
 二 新羅との交易
 三 唐との交易
 四 渤海の虎の皮、そして日本の水銀
 おわりに

第五章 鑑真と香薬
 はじめに
 一 七・八世紀の香薬の用途
 二 「買新羅物解」に列挙されている香料
 三 新羅物のなかの薬物
 四 香薬輸入の依存率
 五 鑑真の香薬選定の意義
 六 国交における麝香

第六章 遣唐使と大安寺
 はじめに
 一 大安寺の規模
 二 道慈と大安寺
 三 公的宿泊施設としての大安寺
 四 大陸との深い関係を物語る『大安寺資財帳』

第七章 平安時代と唐物
 はじめに
 一 大陸との貿易の開幕
 二 大宰府による国際貿易の管理と商人の待遇
 三 海商と平安の公卿
 四 輸入された唐物
 五 国家貿易から自由貿易へ
 おわりに

第八章 平清盛と唐船
 はじめに
 一 三つの「唐船」史料
 二 国際貿易船と国内貨物船の構造
 三 国内における廻船商人と「唐船」
 四 貿易品の国内輸送船

第九章 平氏政権の貿易体制
 はじめに―清盛と宋商
 一 国際貿易のメリット―文化的財産の構築
 二 対外交易の費用と出資
 三 国際貿易と国内経済
 おわりに

補論1 地中海文明と古代ペルシャ、そして日本の唐物
 はじめに
 一 古代地中海文明における工芸品の交易
 二 シルクロードの夢
 三 中国に花開いた隋唐の異国風文化
 四 そして日本の唐物

補論2 仏教東流とキリスト教の西流―東シナ海と地中海の比較
 はじめに
 一 《地中海》を渡った資源材と文字と宗教
 二 《地中海》のルートと《東シナ海》のルート
 三 《東シナ海》を渡った資源材・鉄
 四 《東シナ海》を渡った学術と知識
 五 仏教が日本列島に伝わった経路
 六 製鉄技術の伝来から、仏教文化の誕生まで
 おわりに

コラム 寧波の商人寄進石碑をめぐって

 初出一覧・謝辞
 解説  河内春人(関東学院大学准教授)

 索引
プロフィール

シャルロッテ・フォン・ヴェアシュア(Charlotte von Verschuer)
フランス・高等研究院歴史学部教授。
専門は日本古代・中世の国際関係と物質文化の歴史。日本の経済史を対外貿易と国内生活の二面から研究している。
著書に『モノが語る日本対外交易史―七~一六世紀』(河内春人訳、藤原書店、2011)、フランス語著書に『八~九世紀の日中関係』(1985)、『平安時代と五穀文化』(2003)、『史料の賛辞:古代から近世の日本を考える』(共編著、2004)、『欧文日本古代史料解題辞典』(共編著、2006)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「日本歴史」914号(2024年7月1日発行)に書評が掲載されました。
 →評者:榎本淳一氏(大正大学特遇教授)

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