ラジオノギジュツ サンギョウノヒャクネンシ ゾウホカイテイバン

ラジオの技術・産業の百年史 増補改訂版

大衆メディアの誕生と変遷
岡部匡伸 著
ISBN 978-4-585-32081-4 Cコード 1020
刊行年月 2026年1月 判型・製本 A5判・上製 672 頁
キーワード 近現代,日本史,文化史

定価:7,700円
(本体 7,000円) ポイント:210pt

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書籍の詳細
ラジオ誕生から現在までの全歴史を知る!

長野県松本市にある日本ラジオ博物館には、2000点を越えるラジオが収められている。
膨大なコレクションの写真を掲載しつつ、ラジオの発明、放送技術の誕生、放送局の設立、世界各地での放送開始から、戦時下の国家による統制・管理の時代を経て、戦後の娯楽メディアとしての興隆、そしてテレビ、インターネットの影響によるラジオの変容まで、100年以上の歴史を追う。
コロナ禍を経たラジオの状況をまとめるなど、好評を得た2020年刊行版に大幅加筆。

【本書の特色】
①2025年は、日本でラジオ放送が開始されて100年の節目の年となる。ラジオの発明、放送技術の誕生から現在までに至る歴史を俯瞰した書籍はこれまでになく、まさしくラジオの全歴史の知ることのできる一冊となっている。
②約300点の図版を掲載することで、視覚でもラジオの変遷を見て取ることができる。

 

 

目次
はじめに
はじめに 増補改訂版への序

序章 ラジオが始まるまで
 電波の発見/火花式送信機/検波器の開発/無線通信の実用化/火花送信機の改良と無線電話の開発/コラム 周波数と波長/真空管の発明/無線電信の実用化と電波監理の始まり/マルコーニの独占への対抗――テレフンケンとRCA/アマチュア無線の始まりと短波の開拓/コラム ラジオが聞こえるしくみ

第1部 ラジオの始まりから終戦まで――新たなメディアの登場から発展、そして戦時下へ 1920~1945
第1章 ラジオ放送の始まり
 世界最初のラジオ放送の始まり/コラム 「放送」という言葉/アメリカからの電波受信/放送開始に向けて/聴取料制度の確立/コラム コールサイン/コラム 私設か施設か/英国BBCマーク制度/型式証明受信機/型式証明外受信機に対する特例措置/型式証明制度への反発/型式証明制度の形骸化/型式証明受信機の終わり/放送の開始/放送開始初期のラジオ/コラム 国産第1号ラジオはシャープ?/真空管式受信機/高級受信機/放送開始当初のプログラム/ラジオの全国展開と3局合同、日本放送協会の成立/電池式受信機の電源/電池/充電器

第2章 ラジオの交流化と普及――エリミネーターからミゼットへ 1928-34
 ラジオの交流化の始まり/Battery Eliminator/交流用真空管の発達/本格的交流受信機の発売/日本の交流受信機の始まり/鉱石レフ――電池用真空管を使った初期の交流式受信機/組み替えエリミネーター受信機/エリミネーター受信機のスタイルの完成/四極管の発売/交流受信機の普及/昭和3年度、5年度東京中央放送局エリミネーター受信機懸賞応募/セットメーカーの増加/二重放送の開始と教育放送/二重放送受信機/大量生産への取り組みと金属キャビネットの流行/松下電器のラジオ進出/昭和6年度東京中央放送局エリミネーター受信機懸賞応募/新ナショナル受信機/コラム 「当選号」はどれ/1号機の失敗とその後の松下のラジオ事業/地方局の開局/ラジオ塔/ラジオのデザインの変化――ミゼット型ラジオの登場/五極管の登場/サイモトロンからマツダへ/ミゼット受信機の回路と真空管/ナス型からST型へ――真空管の形状の変化/松下の復活/交流受信機の普及と電力会社/コラム 定額電灯とラジオ/国防受信機――電池式受信機の再出発/室戸台風――大災害とラジオ/非常時対応交直両用受信機(国防受信機)/ラジオ共同聴取設備/日本放送協会の組織変更とラジオ/放送協会認定制度の再出発/認定の方式と番号/放送開始10周年と新しい放送への取り組み/小型ラジオの登場/ラジオの多様化/メタルチューブの開発/放送開始10周年のまとめ――通信機からインテリアへ

第3章 ラジオの普及と戦争の時代――1935-38
 ラジオの普及と「非常時」の始まり/並四と三ペンの時代/技術水準の欧米との乖離/明朗聴取運動と三極管検波の復活/高級受信機の流行/コラム 高二――日本独特の高級受信機/放送会館への移転/青年団ラジオ/ニ・二六事件とラジオ/ドイツ国民受信機/国民受信機と日本/放送局型受信機――制度の始まりと挫折/コラム 幻の2号、4号受信機/ドイツ小型受信機/短波聴取の禁止事情/海外放送受信取り締まりの強化/ミニチュア管の開発とポータブルラジオ

第4章 戦時下のラジオ
 自由競争から統制へ――価格と品種の統制/放送局第11号受信機の発表――高品質な標準受信機から資材節約型へ/コラム 局型11号受信機の回路の特徴/幻の12号、13号受信機/価格統制の強化、公定価格の発表/真空管規格外受信機自粛価格/奢侈品等製造販売禁止令とメーカーの転廃業/新型放送局型受信機/規格1号受信機――ラジオ工業組合標準型受信機/有線放送受信機/コラム 有放第3号型受信機の技術的特徴/逆風下の聴取者の増加/戦況の悪化と放送局型受信機の変容/戦時下の高級受信機/短波受信機取り締まりの実態/輸出用短波受信機への取組み――戦後への布石(1)/真空管の標準化と国民型受信機構想――戦後への布石(2)/昭和20年のラジオ/コラム 「雑音がひどかった」玉音放送の謎


第2部 ラジオの戦後復興――どん底からの再出発、民放の始まりからラジオの黄金時代へ 1946~1954
第1章 焼け跡からの戦後復興――国民型受信機と全波受信機の時代 1946-48
 敗戦から占領へ/国民型受信機――戦後の標準型ラジオ受信機規格/戦後のラジオ受信機配給状況/戦後の認定制度/聴取契約と施設許可の分離/全波受信機の解禁/逓信省型式試験の開始/mT管の国産化/日本製ポータブルラジオの黎明期

第2章 占領の終わり、民放開局前夜――業界の淘汰とアマチュアの台頭 1949-50
 ドッジ・ライン不況とメーカーの淘汰/電波三法の審議と民放開局前夜――再生式の天下からスーパーへ

第3章 民放開局と5球スーパーの流行――ラジオの黄金時代 1951-55
 電波三法の成立と民放の開局/民放の開局/改造スーパーの流行/民放開局とスーパーラジオの普及/5球スーパーの時代/コラム 地方での民放人気/小型ラジオへの挑戦

第4章 復興から成長へ――ST管からmT管へ
 ミニチュア管(mT管)の量産化/ポータブルラジオの増産と輸出の本格化/クリスタルイヤホンの登場/真空管式ポータブルラジオの終焉――1957~58/家庭用ラジオのmT管化/mT管5球スーパーの低価格化/大型店の大量販売、デパートラジオと問屋の小売問題/重電メーカーの家電参入/ラジオの低価格化とスーパー受信機の普及/工業デザインへの取組みの始まり



第3部 高度成長期のラジオ――トランジスターが輸出の花形へ、テレビとの共存の時代 1955~1973
第1章 高度成長の始まり
  AM放送のハイファイ化、ステレオへの取組み/ハイファイ再生装置への取組み――パーツからセットメーカーへ、オーディオ業界の始まり/ハイファイラジオの流行/新しい波(1) 日本短波放送の開局とオールドウェーブの普及/新しい波(2) FM放送の始まり/

第2章 真空管からトランジスターへ
 トランジスター研究の始まり/コラム 初期の日本製トランジスターの品名/アマチュアのトランジスターへの取組み/コラム 隠れた第1号トランジスターラジオ?/トランジスターラジオ用部品の開発/ラジオ産業からエレクトロニクス産業へ/トランジスターラジオ生産の広がり/トランジスターラジオ輸出の本格化/トランジスターラジオの普及/地球儀型ラジオと知財裁判/真空管ラジオの終わり

第3章 若者文化とラジオ
 「ヤング」向け商品の始まり/FMステレオ放送の始まり/なかなか始まらない本放送/FMラジオの普及/Black & Silverのデザイン/若者向けラジオの発売

第4章 高度成長の終わり
 高度成長、3種の神器から3Cへ/ICのラジオへの応用/ラジオ契約の減少と聴取料の無料化/FM本放送の始まり/ラジオ放送の再編計画/沖縄復帰とラジオ/ニクソン・ショック/石油ショックと日本/石油ショック前後のラジオ/マイクロプロセッサーの登場


第4部 石油ショック後のラジオ――安定成長からデフレへ、多メディアの中のラジオ 1973~現代、そして未来へ
第1章 BCLとラジカセ――1970年代のラジオ
 サイクルからヘルツへ/BCLブームとBCLラジオ/スカイセンサーとクーガーの始まり/短波放送の衰退/本格的ポータブル短波ラジオの始まり/BCLブームの始まり/BCLラジオ発売ラッシュ/BCLブームとマスコミ/第2世代のBCLラジオ/BCLブームの終焉/ラジカセの流行/アウトドアブームとラジオ/複合型商品の流行/「ウォークマン」の登場――再生専用プレーヤーの意味/ポケットラジオの流行/ラジオの操作性改善への挑戦/AMラジオ局の周波数割り当ての変更


第2章 ハイテクとデジタル――1980年代のラジオ
 バリコンからPLLシンセサイザーへ/ラジオのIC化/AMラジオのエンファシス/ハイテクとニューメディア/「軽薄短小」の時代/ハイテク風デザインとラジカセの大型化/「おしゃれなテレコ」の大ヒット/シャープ創業者の死/CDの登場/ミニFM局の流行/FMの多局化/テレビの使い方の多様化――ゲーム機とテレビ用ラジオ/ソニーキット/放送大学の始まり/災害用常備ラジオ/緊急警報放送の開始/バブルと円高/FM多重放送の始まり/短波放送のSSB化/RCAの消滅と変わらない日本の電機業界/松下幸之助の死/昭和から平成へ

第3章 バブル崩壊とグローバル化の時代――1990年代のラジオ
 バブル崩壊とソ連崩壊/デジタル化とニューメディアの実用化/『ラジオ深夜便』の始まり/コミュニティFM放送の始まり/FM局設置条件の変更/CDラジカセ/通勤ラジオ/防災ラジオ/外国語放送の始まり/ソニー創業者の死/輸出の旗頭から輸入へ/大型家電量販店の台頭/NECの家電撤退/オーディオ業界の再編の始まり/マルチメディア/「2000年問題」、そして20世紀の終わり

第4章 21世紀のラジオ
 21世紀の始まりと、インターネットの普及/iPodの発売と「ソニーショック」/新しいラジオサービスの終了/外国語放送、国際放送の変化/100円ラジオの衝撃/日本製ラジオの終わり/ブラウン管から薄型テレビへ、デジタル家電の流行/テレビのデジタル化、地上デジタルテレビの始まり/スマートフォンの登場/通信の高速化/ナショナルからパナソニックへ、そして三洋電機の消滅/東日本大震災とメディア/21世紀のインターネットと放送/ワイドFM/地デジ特需の夢の跡/電子産業の凋落/平成から令和へ/AMラジオ局のFM移行/AMラジオの終わり/新型コロナウィルス感染症と放送/AIアナウンサーの登場/NHKのメディア整理/NHKによる配信の必須義務化/DSPラジオ/ラジスマ/スピーカーでラジオを聴こう/能登半島地震と放送/ラジオの復権/未来へ


終章 ラジオの未来
 遠距離から近距離へ/移動体通信/ラジオ放送の未来/放送の未来/コラム デジタルコンテンツの未来/オールドメディアとニューメディアの競争/日本の電子産業の未来/終わりに

あとがき
増補改訂版へのあとがき
資料編
索引
プロフィール

岡部匡伸(おかべ・ただのぶ)
1964年生。1970年代後半よりラジオ、オーディオに興味を持ち、収集を始める。
1986年アキュフェーズ株式会社入社、現職。同社勤務のかたわら、2007年よりネットミュージアム「日本ラジオ博物館」を主宰。館長。
2012年、長野県松本市に展示施設を開設、公開し、現在に至る。
主要論文に「生産統計、聴取者統計に見るラジオ受信機普及状況」(『電気学会電気技術史研究会資料』HEE-97-1、1997年)、「ゾルゲ事件で使用された無線機の復元」(『電気学会電気技術史研究会資料』HEE-99-19、1999年)、The History of Japanese Radio (1925 - 1945), AWA Review, Volume 24, 2011がある。

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