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「八月十八日の政変」で宮廷を動かし、池田屋事件では命を狙われた朝彦親王は、幕末期において、孝明天皇、徳川慶喜を陰で支えるなど大きな影響力を持ちながら、「史実」に記されることが少ない人物である。『朝彦親王日記』『孝明天皇紀』など、幕末維新の重要史料を仔細に読み解き、その知られざる生涯を描きだす。
徳田武(とくだたけし)1944年群馬県生まれ。明治大学法学部教授。早稲田大学第一文学部卒、1974年同大学院博士課程修了。文学博士。1979年に窪田空穂賞、1980年に日本古典文学会賞、1987年に『日本近世小説と中国小説』で日本学士院賞を受賞。主な編・著書に、『梁田蛻巌 秋山玉山』(江戸詩人選集2、岩波書店、1992、復刊、2002)、『近世説美少年録』1・2・3(新編日本古典文学全集、小学館、1999~2001)、『日本古典文学研究史大事典』(勉誠出版、1997)、『日本漢詩集』(新編日本古典文学全集、小学館、2002)、『近世日中文人交流史の研究』(研文出版、2004)、『幕末維新の文人と志士たち』(ゆまに書房、2008)、『元治夢物語―幕末同時代史』(岩波文庫、2008)などがある。
「日本経済新聞」(2012年2月19日)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:中村彰彦(作家))