ハクブツカントイウソウチ

博物館という装置

帝国・植民地・アイデンティティ
石井正己 編
ISBN 978-4-585-20038-3 Cコード 3000
刊行年月 2016年3月 判型・製本 A5判・上製 416 頁
キーワード アーカイブズ,博物館,文化史,世界史,日本史

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細
帝国の欲望と、暴力の記憶

近代化に伴う「世界」の広がりは自他の認識を強固にし、他者を陳列し掌握するという欲望は「博物館」という装置を作り上げていった。
そこには帝国主義・植民地主義という政治性が色濃く反映していた。
また一方で、博物館は、歴史の暴力をいまに留め伝える役割を果たしつつある。
われわれは、いま博物館という装置を如何に考えていくべきか。
時代ごとの思想と寄り添ってきたその歴史と、アイデンティティを創出する紐帯としてのあり方。双方向からのアプローチにより「博物館」という存在の意義と歴史的位置を捉えかえす。

 

 

目次
序―なぜ帝国主義・植民地主義と博物館を問うのか 石井正己

Ⅰ 帝国主義の欲望を担った博物館
「帝国」という空間における博物館を考える 中見立夫
帝国主義的博物館に刻印された「欲望の社会史」 全京秀

Ⅱ 帝国日本で生まれた博物館の歴史
奈良の古物をめぐるイメージとナショナリズム―正倉院御物を中心に 角南聡一郎
コラム 森鴎外と帝室博物館 石井季子
渋沢敬三の「日本産業史博物館」構想にみる農林水産業への眼差し 橋村修
保谷の民族学博物館から千里の国立民族学博物館へ 石井正己

Ⅲ 帝国日本が営んだ外地の植民地博物館
台湾総督府博物館の歴史 日下部龍太
植民地期朝鮮における博物館の展開と朝鮮人 金廣植
樺太庁博物館にみる植民地と郷土像 鈴木仁
「満洲国」の博物館事業と帝国主義・植民地主義 大出尚子

Ⅳ 帝国の進出と収集されたコレクション
ロシア帝国の成立とピョートル大帝人類学民族学博物館のアイヌコレクション アンドレイ・ソロコフ
ロシア帝国と植民地文化―カムチャダルの犬橇に寄せて 荻原眞子
「帝国」を逸脱する視線―南方熊楠の大英博物館における筆写作業をめぐって 松居竜五
コラム 柳田国男とヨーロッパ博物館

Ⅴ ローカルな博物館とグローバルな博物館
ドイツ・フォークトラント地方の地域おこしと野外博物館 加賀美雅弘
コラム カッセル・グリム兄弟博物館とユネスコ世界記憶遺産 虎頭惠美子
ヨーロッパ・地中海文明博物館の開館 出口雅敏
コラム 海外移住資料館の視角 松田潤治郎
コラム 彝族と博物館、彝族の博物館 松岡格

Ⅵ 文化財返還の根拠と歴史を逆なでする博物館
日本の外地朝鮮統治と博物館、古蹟発掘と文化財 崔錫栄
植民地主義と博物館・博物館学 君塚仁彦
プロフィール

石井正己(いしい・まさみ)
1958年生。東京学芸大学教授、一橋大学大学院連携教授、柳田國男・松岡家記念館顧問。専門は日本文学・民俗学。
著書に『遠野物語の誕生』(筑摩書房、2005年)、『文豪たちの関東大震災体験記』(小学館、2013年)、『テクストとしての柳田国男』(三弥井書店、2015年)などがある。

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