外来の宗教である仏教は、その伝来より、広く日本の社会・文化に影響を与えてきた。
なかでも、山林に分け入っての修行は、仏教創始以来の伝統として時代を通じて行われてきた。
仏教伝来から間もない古代日本において、山林修行はどのように行われ、どのような宗教的意義を有していたのか。
奈良から平安初期において山林修行を実践した泰澄、報恩、満願、施暁、玄賓、聴福、勝道、徳一、勤操の九名の事績を考察、
加えて、山林修行における諸種の形態・様相を諸資料をもとに描き出すことで、日本古代の山林修行の総体を明らかにする。